Exclusive Piece
丹原健翔
紙、インクジェットプリンター / 書・カリグラフィ・文章
250 x 176 x 0 mm
スペース: AWAJI Cafe & Gallery
購入、詳細: startbahn.org
ピッカー:
杉本有輝
起業家、作家(株式会社ハクナバラ)
ピッカーコメント:
丹原さんは今回の展示において不利と思われる作品提示に果敢に挑戦している。この試みの意味するところは、一回性や複製が生み出す評価の問題への取り組みである。価値の対象が遷移・分散・集中するか等の、価値の生成のプロセスをあぶり出すわけである。作品の表現方法としては、既に語り尽くされているであろう手法を取り入れることによって、それさえも逆説的にメタのレベルに落とし込もうという意欲が感じられる。価値の生成主体としての認識者(鑑賞者)を作品の一部として取り込むことで、ある種のトートロジーを現出させることもまた表現され尽くされている。しかし、これらをわかりきった上で、そのトートロジーのコンテクストをどこまで延長していけるかという上昇する直線的志向さえもトートロジーに回収されるのか、その臨界点はまさに円錐としての富士山の象徴するそれである。その意味では、富士山という、日の丸同様の最大公約数を持ちうる記号を重ね合わせることで、この高い思考実験の裾野を広めることに成功している。果たしてこの試みが回収されうるか、今後の活動に期待したいと思う。