廣岡友弥
千葉県出身。武蔵野美術大学大学院修士課程油絵コース在籍。
「ご職業は?」
「作り部です。」
「えっ?……つくりべ?」
私にとって「アーティスト」、「美術作家」という肩書はどうも着心地が悪い。「作品において自己表現をする」というが、日頃から自己に関心が無く、「オリジナルな表現」というものに懐疑的であるからだろうか。加藤周一は「非専門化の専門家」に成りたいと言った。また、「平家物語」を語り紡ぐ琵琶法師のような存在を、一般に「語り部」と呼ぶ。なるほど、私の向きたい方向はここにある。ただ、双方とも言葉の扱いが重要であり、私は昔からそれが苦手であった。しかし、物作りに関して多少の心得はある。言葉だけでは語り得ない事を物作りによって語り紡ぎたい。私は「語り部」ならぬ「作り部(つくりべ)」として、広い関心と自由な考察を基に、今後も活動をして行きたいと考えている。